アストロカートグラフィの地図が答えるのは空間の問いです。生まれた瞬間、出生の天体は世界のどこでアングル上にあったのか。けれども、ある都市が候補に入ると、すぐに次の問いが出てきます。今試してみるのがよいのか、それとも来年の春まで待つべきか。これは時間の問いで、出生時刻で描いた地図だけでは答えられません。
占星術で時間を扱う代表的な方法がトランジットです。指定した日の天体の位置を、生まれたときの位置と比べます。英語版のトランジット計算ツールは、任意の日付のトランジットを計算し、遅い天体の12か月タイムラインを描き、都市を加えればその場所のリロケーション・アングルへのトランジットも表示します。この記事では、結果を予言として扱わずに読む方法を説明します。
1年分のトランジットを14秒で
遅い天体が外側の輪を進み、出生の天体やアングルとオーブ内に入るたびに線が現れます。
トランジット図は何を比べているのか
出生図は固定されていますが、空の天体は動き続けます。トランジットの土星が出生の金星と同じ度数に来れば、土星と金星のトランジットのコンジャンクションです。90°離れていればスクエア、120°ならトラインと続きます。
読むうえで大切な数字は2つです。オーブは正確までの距離で、このツールではコンジャンクションとオポジションに3°、スクエアに2.5°、トラインに2°、セクスタイルに1.5°を使います。トランジットは時間の中の出来事なので、出生図の慣例より狭くしています。アプライは正確に近づいている状態、セパレートは最も近い時点を過ぎた状態です。
自分のチャートを重ねる前に今日の空そのものを見たい場合は、今日の天体の位置で各天体のサインと度数、今日の空が地図のどこを通るかを確認できます。
まず遅い天体を読む
すべてのトランジットが同じ重さではありません。速い天体は数日で3°のオーブを通り抜けますが、遅い天体は何か月もとどまることがあります。同じ物差しで読むと印象が大きくゆがむほどの差です。
速い天体と遅い天体は、別々の時計で動く
天体が同じチャート上の点の3°以内に1回の通過で滞在する平均日数。
そのためツールは速い接触と遅い接触を分けて表示し、タイムラインには木星、土星、天王星、海王星、冥王星だけを描きます。遅いトランジットは季節の背景を表し、速いトランジットは賃貸契約の日を選ぶような場面に役立ちますが、「この1年が移住に向いているか」を判断する材料にはあまりなりません。月は除外しています。ここで使うオーブをすべて1日足らずで通過してしまうからです。
ひとつのトランジットが2回正確になる理由
遅い天体は毎年、見かけの逆行をします。地球から見ると、減速し、後ろへ進み、止まり、また前へ進みます。この往復が出生の点の近くで起きると、同じトランジットが一度以上正確になります。
1つのトランジットに、2つの正確な日付
トランジットの土星と出生の金星の距離(週ごと)。
サンプルの出生金星は牡羊座9°42′。計算結果:2026年10月5日〜2027年2月25日がオーブ内、10月25日と1月24日が正確。
このサンプルでは、土星が2026年10月下旬に出生の金星に重なり、12月に減速して順行に転じる間に少し離れ、2027年1月下旬に再び正確になります。計算結果は10月5日から翌年2月25日までのひとつの期間で、正確な日が2回あります。1つの日付だけ、あるいは最初の通過だけを見ると、この期間の大半を見落とします。
都市を加える:リロケーション・アングルへのトランジット
天体の黄経は地球上のどこでも同じですが、ASCとMCは違います。チャートをどこで作るかによって決まるからです。英語版のリロケーション・チャート計算ツールは出生の瞬間を固定したまま、別の場所でこの2つのアングルを計算し直します。そのリロケーション・アングルへのトランジットが、アストロカートグラフィの「時間の面」です。
同じ1年、3つの都市
天体の位置は場所によって変わりませんが、ASCとMCは変わります。1つの出生図で、遅い天体が各都市のアングルに作るトランジットです。

この例では、1つの出生図と3つの都市を使っています。北京は出生地です。上海は経度で約5°東にあるため、MCも黄道上で約5°先にあり、土星が到達するのは数週間後になります。リスボンは遠距離の移住先でアングルがまったく異なり、同じ1年の間に土星がMCに重なることはありません。
これは上海は夏がよい、リスボンは3月がよいという意味ではありません。示しているのはもっと控えめで役に立つことです。同じ1年でも、立つ場所によって強調される時期が変わり、近い都市はタイミングの多くを共有し、遠い都市はそうではない、ということ。これはラインそのものと同じ考え方で、ラインからの距離が重要であり、数百キロの違いは大陸をまたぐ違いよりずっと小さいのです。
期間を小さな試みに変える
トランジットの期間が最も役立つのは、未来について何を信じるかではなく、次に何をするかを決めるときです。ある都市のアングルへの遅いトランジットが来春にあるなら、現地を訪ねる、雇用先と話す、1か月だけ短期で借りて普段の生活を確かめる、といった時期にできます。タイミングと現実の証拠が別の方向を指すなら、現実の証拠を優先してください。
トランジット図を上手に使う4ステップ
1日付を確かめる
まず今日、次に引っ越しや面接、契約の予定日を入れてみます。
2遅い天体から読む
木星〜冥王星が数か月の背景をつくり、速い天体は数日の彩りです。
3都市を加える
検討中の場所のアングルに遅い天体が触れるかを確認します。
4現実で確かめる
期間を試し滞在や見直しに使い、判断は事実に基づけます。
限界を見える場所に置く
トランジットは正確な入力に依存します。天体同士のトランジットは出生時刻がなくても成り立ちますが、ASC、MC、ハウスへのトランジットはそうではありません。時刻があいまいなら出生時刻がわからないときのアストロカートグラフィを読み、アングルへのトランジットは暫定的に扱ってください。ツールの正確な日付は日単位で、分単位ではありません。
占星術は象徴的な解釈の方法で、検証された予測手法ではありません。スクエアやオポジションが悪い時期を意味するわけではなく、トラインが順調を約束するわけでもありません。タイムラインは、いつより良い問いを立てるかを決めるために使い、移住の判断は、お金、仕事、在留資格、健康、そしてそばで暮らす人々を、ほかの大きな引っ越しと同じように丁寧に検討して行ってください。
まとめ:日付を確かめ、遅い天体から読み、検討中の都市を加え、その期間を現実での試みに使いましょう。
